タイの教育

　タイの初等教育は、近年充実しつつあり、小学校6年生までが義務教育、就学率は90〜95年平均で87％までになっている。6年間の義務教育の後、前期中等が3年、後期中等が3年と経て、高等教育(大学）に進む。

　 では、家庭の事情などから進学できない児童はどうなるのだろうか。タイの労働者保護法では、15歳以下の年少者の労働は禁じている。また、18歳未満の年少労働者の22時から翌朝6時までの労働を禁止している。これは一見、児童労働の環境を危険から遠ざけたように見えるが、現実の児童労働を深刻化させている。

　先に述べたように、タイの義務教育は12歳までである。いろんな理由で中学校に進めない子供の空白の3年間。行き場がない。すると、法律の目の届かないところでの不法労働で、雇用してもらう他ない。劣悪な労働環境でも児童は仕事を選べないために、危険な労働に身を投じてしまう。法律はかえって児童労働の状況を悪化させているのだ。

　現実と法律の狭間で苦しむ子供を出さないためにも、中学校までの義務教育化は検討されつつある。しかし、現在の中等教育の就学率は、32%ほどにとどまっている。 下の表をみてもらっても分かるように、アジアの中でもこの数字はだんとつに低い。

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