タイの東北部ノンカイまでは列車で12時間。運賃は、2等で278バーツ(＝834円）。ノンカイはラオスとの国境の町のため、さすがに時間がかかる。2等座席は、普通 の車両の半分なのだけれど、私達の他に座っている人はあまりいない。

　乗ると早速、いろんなものを売りに来る。列車の中には食堂車もついており、そこで作った料理を売りにくる。その他には、駅ごとに乗り込んでくる 物売りの人達。売っているものが何かわからないものから、おいしそうな果 物。または、日本人にはかなりきついと思われる袋コーラ。その中でも、かなりのヒットだったのは、写 真一番上の鳥のあし。

　棒の間に無造作に差し込まれたとりの足。こんがりこんがり焼いてあるため、とってもこうばしい。骨と骨の間の肉をむしってむしって食べる。どんどんむしりとられ、骨だけになった鳥の足は、新聞紙にくるんでぽい。現地の人たちは窓から骨を、ぽい。何一つ環境に悪くない。自然に戻るものだもの。

　何時間もごとごと揺られながら窓の外をずっと眺めていると、牛が列車を凝視しているのを見る。時々窓の外の遠くの方に一軒だけみえる、高床の家の人が飼っているのだろうか。 窓の外は、いくら眺めていてもあきないものだ。右にも左にも川が広がり、その中を列車が走り抜けていく景色。どこまでいっても、ヤシの森が広がる景色。いくら早いからといっても、飛行機でブーンと飛んでしまうのは、もったいない。列車が好きな人に限らず、いろんな楽しさがある。

　時々、列車はヘンな行動にでる。何もない駅で何分もとまったり、急にBACKしたり。いい感じに加速（それでも車に追い抜かれる速度）して遅れを取り戻すかと思ったら、またゆっくりに戻ったり。時間も何も関係ない。日本において、電車を利用する大条件は、時間に正確で、混むけれど渋滞の心配はないからだろう。一方、タイにおいて列車は、通 勤など時間を気にする場合に使うものではないため、時間におくれようとあまり関係ないようだ。

　列車は、予定より遅れたり飛ばしたりしながら、だいたい時間通 りにノンカイに到着。ノンカイはタイ国鉄東北線の最果ての町だ。 あたりはもう暗くなってきていたのだが、駅には人が集まっている。迎えにきてくださったのは、ウィラサクさん。彼の笑顔に、「ノンカイに来たんだ」という実感を抱く。彼の運転する車で、ノンカイでの宿泊先のSawasdee Guest Houseに向かう。以前とノンカイは少しずつ違っているらしい。駅は最近新しくなったらしく、他にもいろんなものが新しくなり始めているらしい。

　ノンカイに着くと、既に午後6時をまわっていたため、その日はゆっくり休んで次の日から動くことになった。列車で何時間も寝ていたにもかかわらず、さらに深い眠りにおちてしまった。 。